音声バイオレンス/みぞるる
 
放任してはならない

読書にふけていようと
トマトを食らっていようと

あの人のリズミカルなノックが
私の耳をいびるから

あの人のこころは
この時のみ
私の中の
遠いどこかまで
至る

私よりも速く


だけど放任してはならない

奴は
私のこころの角を
軽やかなテンポで
まるく
まるく
まあるく
あるく

その内私のこころは
歯向かうことを忘れ
あの人に暴行されている

音声バイオレンス

私の耳は
私のこころを置き去りにしたまま
あの旋律を探して

遠いどこかへ
私の中まで
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