音声バイオレンス/みぞるる
放任してはならない
読書にふけていようと
トマトを食らっていようと
あの人のリズミカルなノックが
私の耳をいびるから
あの人のこころは
この時のみ
私の中の
遠いどこかまで
至る
私よりも速く
だけど放任してはならない
奴は
私のこころの角を
軽やかなテンポで
まるく
まるく
まあるく
あるく
その内私のこころは
歯向かうことを忘れ
あの人に暴行されている
音声バイオレンス
私の耳は
私のこころを置き去りにしたまま
あの旋律を探して
遠いどこかへ
私の中まで
戻る 編 削 Point(4)