し/乱太郎
 

わたしは

     待っているのです

   朝がたに
     たんぽぽが咲いているでしょう

わたしは

     聞いていたいのです

   橋の向こうから
     子どもが遊んでいるでしょう


アダムとイブがエデンの園で
最初に読んだのはたぶん
「翼を捨てた天使」

あなたのその声は

   白く汚れて
   冷たく微笑むのかもしれない

あなたのその声は

   わたしを嘲笑っているのでしょう

無花果の実を与えるみたいに


カインとアベルを授かった
本当のわたし

妖精と戯れる処女と呼ばれることもあるかも

嘲笑されようが
揶揄されようが

わたしは

     あなたを

   ずっと

    まちつづけるのです
    さがしつづけるのです

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