ひまわり/北街かな
 
のせなかをピストルで狙う
生まれたままの殺意を装填して
捕捉、射撃準備
挙手、自白、着席

向日葵は すなおに学び 健やかに育とうと
鉄棒に巻きついて 雲梯に絡んで
はしり ひらき とじたがり
ゆれて ゆさぶられて ゆれる
表皮も 内臓も 未熟な思想も ゆらり
ひらひらの手足も ひらり
足を釘付けされたまま
飛ぶまねをしてみせる

顔ぜんぶで噛み砕き食べ残して 拾い食い
吐き散らかし 泣きわめき へし折れ しおれ
忘れたころに吸水し
しゃんとはするが
くちは閉じない
涎をしたたらせて むしをたべ
詩思をうたって解をもとめようとする
なんと、満面の花弁じゃないか
屋根よりたかく背をのばし
生きて 死のうと
ひらき とじてゆこうとしている

その雄雄しく若き向日葵に
なんのむしを食べているのかと聞くがいい
お前と、あいつと、ぼくと。と
睨むように揺れてみせて 溌剌と答えるだろう
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