伊勢/瑠音
 



流れに逆らって風が吹くから
動けない枯れ葉が揺れる
時期尚早
焦って落ちた
若葉も揺れる

全くその夏と言えば
まだ6月だと言うのに
いつものように焦ってはじまるイチロクサンパチの祭りが
暑くて街が焦げてしまう
ただ
あの祭りもいつかのようには賑わいがなくなったと
誰かの言葉で知った

人は飽きずに神に参り
氷を食べて
夏を迎える
信仰心は本物だと思う
その意味をたとえ知らなくても
その
何か神秘的で神々しいものを
体の
見えない場所が信じてる

隣で祈る少女の睫毛が揺れた
かみさま
どうかこの子を
僕にください
そんな願い
かみさまなんて信じないと言うのは
叶わない願いへの言い訳
かみさまのせいに
しないための逃げ道

でも今は祈るより
飽きることなく揺れる葉に
いつかの私の願いを見たくて

氷を食べ
キュウリをかじり
夏を歩いて
探す6月
影を選んだ
干からびてしまわないように



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