スケッチ #6/23/瑠音
『川沿いの空想』
老人は川沿いを
ゆっくりと目的地に向かっていった
すべての色を鮮やかに
太陽が今日も熱かった
泳げはしない川の
それでも綺麗な流れの中を泳ぐ
あの魚になりたい
水面を食むそのしぐさが
いつか出会った艶やかな女性のようだったから
静かな帰郷
誰にも
なくしたい過去がないのなら
川は枯れ
諦めた少年は魚を求めて山を登る
私は誰にも気づかれないように
頭を出した木の葉を舐めて
アメンボの息の根をとめたがる
キラキラと
水面を踊る宝石を狩ることができたら
夢の続きも見るだろう
歌の続きを読むだろう
そして老人が
目的地へとたどり着く
後ろ姿を
見たなら帰途を
急ぐだろう
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