白森/斗宿
 
白い、石の森を歩いていた
ただ独り

カラリ、と乾いた砂が足元で鳴る
立ちはだかるような巨木の肌に手をあてると
コポリと幹を伝う水の鼓動を感じた

どこからか
私を呼ぶ声が聴こえる
誰とも知らない
何処からとも判らない
ただ
私を呼んでいる、私は呼ばれている
それだけが
まるで天啓のように閃いて
ゆるやかな歩みを止めさせた

凍るように冷たく透き通る沢が
緑の葉を流し去ってゆく
先ほど天より舞い落ちた、最後の一葉だ

森は、穏やかに終焉を迎える

ああ、そうだ
森は死んでゆくのだ
そして私は産み落とされる
終わり逝く森から
びょうびょうたる荒野
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