記 b/
井岡護
‘刃渡りを阻止する事が出来ません’
そう言うと彼は
右眼の中に頭を擡げ静かに鍵を剥がした
果たして可能であったのだろうか
彼が弄りと氷と明日を前にして
正しい選択をする事は
横切ろうとする為だけの傘の色は
肥大化した貝や焦りに飲み込まれた
資料館の一室に置かれている
口の中の環が彼を取り囲み
電算機を通じてこう言う
‘石は満ちているようですが’
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