面接(16)/虹村 凌
 
鏡でも見るみたいに」
「それで?」
「そいつと喋る」
「喋るの?」
「会話する」
「何を?」
「決まった何かを喋るんじゃない。その時にあわせて、内容は変わる」
「例えば?」
「俺は正しいのか、間違っているのか、何をするべきかって」
「誰もがやる自己対話みたいなのじゃないの?」
「自己対話くらいなら、誰でもやるだろうけど、俺は俺と喋ってるんだ」
「…」
「君は、そういうの無いでしょ?」
「…」
「俺は病んでるのかな。多分、そうだと思う」
「それとね、多分、色んな感覚も普通じゃない」
「…どういう事?」
「いつも、ブレーキかかってる」
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