残暑にねむる/
 
桟のきしむ音のする
ほこりっぽい網戸をひくと
あごの線にそう
あどけないおくれ毛が
すずしく 揺れた

たとえば を
話すとき
そのよこがおは
やわらかそうに 笑うのだけど
うっかりと
外の向こうがわへ
滲んでしまいそうで
何度もまばたきを
してしまう



風向きが
わからない
日々の境目さえも
あいしたくなる よる
残暑  という文字をふせて
あせばんだ背中にしょっていた
みどりいろのなまえを
とおくまで 棄てにいく


そんなよるの中に
やわらかそうな
よこがお



きっと、なんて
おもたい。
昇ったままの太陽が
わたしたちをかなしませるから
まいにち
ひたむきに
目を閉じて ねむるのです
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