panopticon/ケンディ
 
ラウラ・ニーダーゼッセンは非-自由を求め続けている。
そしてそれを実行している。
彼女はあるシュパールカッセ信用金庫頭取の秘書だ。
仕事から帰ると彼女は、必ず初めにやることがある。
部屋の隅にかけてある複数のヴィデオカメラの電源を入れることだ。
次に自分のパソコンを立ち上げる。ヴィデオカメラは部屋の中を
すべて映し出し、録画し、パソコンからインターネット上に流れる。

その一部始終も彼女はモニターに映し出し、それを眺めている。
モニターに映し出された、自分の斜め後ろ姿、横顔、正面の顔、
すべてを監視する。
自宅から出ない限り、自分のすべてが、録画され続け、
誰か--不特定多
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