ヴィオロンの滑走/aidanico
 

――一寸お暇頂きますわ、また今度いらして下さい。…あなたがどんだけ別嬪でいらしたかって?そんなら昭和に戻ればいいわ。

こんこん!まあだだよ。ごんごん!まあだだよ!がんがん!
ああ誰もいない。

指の先から、
ヴィオロンの伝染べえろべろ、耳に祈願して狐がくしゃみ、
…爪噛み
ゆるりらゆるりらぼろぼろと、歯が落ちる、歯が落ちる、歯が落ちる。
三千世界に降下した・昨日の朝

鸚鵡を鳥篭から放った
裸足の少女は駆けながら去って、
ふるえながら嗤う

――ようよう西まで入られましたなあ。
――いいえ、私の向かうのは鶴の皿です。
  ひゃくえんいろのにせんまん。


[次のページ]
戻る   Point(0)