崩れた線たち/かのこ
湿った風の残る残暑に
崩れた線が、幾筋も幾筋も
飽きることなく遊泳していて
嗚呼、眩しいばかりだな。
わたしも何とか飛んでみようとは思うのに、
どう真似たってなかなか上手くいかない。
可愛らしくあるよう
器用に崩れた線たちを
遠すぎる羨望で囲んで送り、
ただ只管に、溜め息を吹きかける。
わたしは一人黙々と歩き続け
いつも途中で疲れてしまう、そうして
あらゆるパターンに目を奪われていくうち、
卒倒する妄想に駆られてゆく、暑さの中。
ねぇ、わたしは、あんな綺麗に崩れられない。
・・・みんな、きれい。
戻る 編 削 Point(4)