崩れた線たち/かのこ
 
湿った風の残る残暑に
崩れた線が、幾筋も幾筋も
飽きることなく遊泳していて
嗚呼、眩しいばかりだな。


わたしも何とか飛んでみようとは思うのに、
どう真似たってなかなか上手くいかない。

可愛らしくあるよう
器用に崩れた線たちを
遠すぎる羨望で囲んで送り、
ただ只管に、溜め息を吹きかける。

わたしは一人黙々と歩き続け
いつも途中で疲れてしまう、そうして

あらゆるパターンに目を奪われていくうち、
卒倒する妄想に駆られてゆく、暑さの中。

ねぇ、わたしは、あんな綺麗に崩れられない。




・・・みんな、きれい。
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