あれあし/靜ト
 
ベランダの網戸に
小さな蜘蛛が一匹、しがみついている 
風のごうごう吹く真夜中だから
足をちぎれそうにのばして
蜘蛛なんて見るのも嫌なのに
ひどいすきま風に顔をしかめながら
なぜか私は
ひとさし指をそっと差し伸べた
2,3回足でこわごわ触れてから
ゆっくりはい上がってきたそれは
目をつぶってしまったら
乗っているのかどうかも分からない程で
なんだか胸がくしゃりとなるのだった

リビングに戻ったら
電話のボタンが点滅していて ずきっとする
押したらきっと耐えられなくなると分かっているのに
「ツー  本当、ごめん。   でもこれからも友達でいて欲しい。  
 じゃあ
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