ものおき/小川 葉
 
 
 
だれもいないものおきで
ほんをよむのがすきでした

だれもいないものおきで
わたしもいつかものとなり
おかれるものになるものと
おもってばかりおりました

そのいえで
くらしたひとがふれていた
くらしのひびにありました

けれどもわたしも
そうでした
いまでもずっと

そうなるとばかり
おもってました
いつかすきになるはずの
ほんをよみはじめたころでした

だれもいないものおきの
どこにもわたしはおりません

ものおきではないこのばしょが
わたしのいばしょになっていて
わたしはそこでだいすきな
ほんばかりよんでいるのです
 
 
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