メーカー/靜ト
町外れの海辺の林の中に
小さなトタン屋根の小屋があって
そこで彼は毎日作っている
「動き続けることに意味がある、しかし動き続けるだけでは意味がない」
彼は思う
彼はずっと作り続けているのだ
道具なんて無い(というよりすべてが道具なのだ)
彼の作品は数え切れない(もしかしたら無限かもしれない)
けれども彼の作品は目には見えないし
彼一人では残すことすらできない
彼は唯一無二の職人であるが
彼は世界中至る所にあまたといる
昔彼には大切な両親がいて、厳格な祖父と、賢明な祖母もいた
やがて彼には友人ができ、恋人ができ、結婚し、子供も生まれた
最初に祖母が死に、父
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