ミミー・アナとカッポジッテ -断章 1-/人間
―――「私が最も恐れているのは、他人の”正義”です」
オンドレイ・ミミー・アナは縋るとも射抜くともつかぬ目でブリキ製の偶像に向かい、
もったいぶった仕草で手を合わせ、告白とも暴露ともつかぬ調子で漏らした、初夏の朝。
そのお道化た様子を見詰めて、カッポジッテはニヤニヤしながら両腕の義手を擦り合わせた。
「だって母さん、彼らは『もしかしたら自分は間違っているかも知れない』なんて微塵も考えていないんだわ!」
ミミーはシリー・アナのスカートにしがみ付いて無邪気に訴えた。
溶樹の絡まった石塀にシリーがホースで水を掛けると、朝陽が火花のように乱反射した。
「たとえ慎重な言動をしていたって、それは
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