墓守/瑠王
どちらからいらしたんですか?
いいえ、こたえなくてもわかっています。
私には遠い場所です。
短い旅に感じられたのは、誰も時計などお持ちではないからです。
あなたの頭皮が赤く日焼けしているのも知っていますし、あなたの靴がとても利口であることも存じております。
水を召しますか?
それとも感傷にひたれるよう黙っていましょうか。
あなたのことは何度も夢に見ました。
ある夢では象に乗って土地をまわっておいででした。
またある夢では地球の裏側まで穴を掘ってそれでも足りないくらい悲しんでおいででした。
さぁゆっくりお安らいになったら、目を閉じて私も知らない偉大な旅へとお発ちください。
何も心配をすることはありません。
ご存知ないんですか?
ここにいらっしゃる間にあなたが流した汗と涙はオアシスとなったのです。
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