万象の詩夜/
遊羽
詩になる映画を見た夜は
我が言霊も揺すられて
夢など到底見られない
言葉が秘めるその力
感じて夜空を見上げては
明日になるのをじっと待つ
詩になる映画を見た夜は
会えない友を思い出し
眼差し遠くなりがちな
新たな言葉が口をつく
ふと峙てた耳の先
秋の夜長の虫が鳴く
我が振り返し万象の
数多の言葉空に咲き
口をついては現れる
命にも似た言霊の
明日無きさだめに涙して
更けゆく秋の空見上げ
#初稿 2004年
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