十一月/非在の虹
北斗七星をはじめて見たのは
最近のことだ
ぼくが少年期を過ごした街は
空が区切られて
オリオンの三ツ星しか知らなかった
きみの家にいそいで
枯草の道を歩いているときだ
眼前にあらわれたのだ
立ちふさがるように
ぼくは
それだけをめざして歩いた
たどりつくと
きみを外につれ出した
ぼくはきみの肩をだき
空をさがした
息荒い二人に星々は
静止した雪だった
けれど
あんなに大きな星座なのに
きみは天の川を見たこともないぼくを笑った
からだはきみの体温を感じた
それは最近のことだと思っていた
ぼくがはじめて見た夜空
しかし十年がたっている
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