思い出/
aidanico
私は想い出していた、
遠い昔に患った、
永い永い病の名を。
私は優しく撫でていた、
広い野原に転がった、
小さな肢体の伸びるのを。
私は酷く疲れてた、
狂おしい愛と覇気に満ちた、
誰からも苛まれない生活に。
私はある日死んでいた、
声も立てずに死んでいた、
殺した私に抗えず。
虚無は虚無に塗り固められやがては埋められていくのだと言う、
――私はその言葉さえ知らなかった。
――まして身の振り方なんぞ知る由もなかったのだ
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