ア、雨/
小川 葉
はじめてみるものばかりでした
はじめてきくことばかりでした
やがてはじめてではない
ものやことばかりがふえていくと
いきることやものとは
そのようにあるのではないかと
おもうようにもなりました
けれどもなぜか
あめがふるときまっていうのです
わたしとあめが
はじめてであうように
じっさいはじめて
であっていたのです
かなしみさえも
そのように
いきてることにちがいないと
あめとふたりで
かさをさして
みちをわたることもありました
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