夏と少年/佳代子
で夏草がくったりと意味のない死をとげる
ある日のグライダーは駄菓子屋のおばさんの
思惑の上をはるかに高く飛んでいったのだろう
私が紙石鹸を選んでいる間に
桃色と青を悩んでいるほんの少しの間に
グライダーは飛んでいってしまったんだ
私は何を切望したんだろう
それが夏なのか少年なのかわからないまま今に送られ
負け組の勝ち気少女は灼熱の太陽でありたいと思うのだ
それから夏が来るたび私の耳に
ケイナの音色が聞こえてくる
アンデスの熱い乾いた風とともに
標高6000mの架空庭園が広がる
負け組を認めた日から私の夏は
ここにあるのだ
8000?の腕で少年達を抱きしめるために
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