ウミネコ/銀ラメ
 
色褪せたシャツをきて

晴れた浜辺から 沖に ボートをこいだ


水面は

ゆるい上り坂

重たい白砂は

底にしずかに揺れるだけ


ぼくはウミネコに敬礼をし

ウミネコはぼくを祝福する


波は立たない


しづかに
しづかに


郷愁に別れを告げよう



餞別に受けた涙の香は

もう 両手のスプーンで

潮とかき混ぜてしまった



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