闇と親和する度量/kauzak
 
微かに本が吐き出していた
縁の糸に絡み取られたように
また
導かれた一冊の詩集

図書館で目にすると
迷いもなく借りてきた


けれど貸し出し期間の半分が過ぎても開けず
10日が過ぎてやっと帰りの電車の中で
紐解いて読み更ける


今はもう主のいない家
に泊まり迫ってくる
闇に溶け込もうとする詩にぶち当たる


迫ってくる闇を受け入れる度量
を僕はまだ持っていない

男であっても

男であるからこそ
闇が恐ろしい


導かれたような一冊の詩集
を読みながら飲むペットボトルの焙じ茶は
舌を火傷しそうに熱い

ターミナル駅で乗り換える
隣のホームに貨物列車が滑り込む
ガチャンガチャンと荒々しく停車する

導かれたような一冊の詩集
の余韻に浸っていた僕は
一気に現実に戻される
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