7.廃墟の住人/朽木 裕
 
男は蔑む
それが一番の欠点だと
おそらくそうなのだろう。

でもやめられないのは何故だろう
父が昔言った言葉が忘れられない
写真を撮るものが廃墟の魅力を知ったら戻ってこれない、と。
それもおそらくそうなのだろう。

廃墟には人ならぬものが住む
彼らは確かに其処に存在している。

目が合ったなら最後、
取り込まれたなら最後、
とりつかれたなら最後、

もう二度と、愛する者にさえあうことも叶わないかも知れない。
そう知って尚、私は。

私は。
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