九月/松本 涼
 

愁い棚引く九月はゆらりと

恋人のくちびるを

柔らかく止める


ほんのりほてった袂を

上げて私は

そのくちびるへ駈け寄るのだ


吐き出す息がすべて

九月のものになってしまう前に


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