アナゴ/MOJO
東京湾をフィールドとする釣師にとって、アナゴは馴染みの深い魚である。
キスやハゼを狙っていても、日が沈むころになるとアナゴが食ってくる。
防波堤や漁港の岡っぱりからの釣だから、寿司屋ででてくるようなサイズは滅多にお目にかかれないが、画学生用の鉛筆の親方のようなのはよくかかる。
持ち帰っても、細くて捌くのが面倒だから、塩もみしてぬめりを取り、はらわたを除いたら、片栗粉をまぶして揚げてしまう。
釣りたての鉛筆親方を低温の油で二度揚げすると、頭からぽりぽり齧れるのである。その風味はネタ自慢の天麩羅屋など目ではない。いい具合に揚がった鉛筆を齧りながらビールを飲む。
釣師の特権であり、至福
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