アラスカ4〜物語のなかへ〜/鈴木もとこ
らないような山奥にまで
砂防ダムがあることだ。山の砂が流れていかない事で海岸がどんどん狭くなっているとい
う事実はもう皆知っているのに、誰も気が付かないうちに静かに次々と作られているのだ。
私の部屋は、ネナナ川に面した2人用の小さなバンガローだった。
大きなベッド、バスタブ無しのシャワールームに洗面台。簡素な作りだけど、十分十分。
洗面台に水を張って、アンカレジで仕入れた黄桃とグレープフルーツを冷やす。おっと
地ビール「アラスカン・アンバー」も忘れずに冷やそう。今夜は白夜が終わってやっと沈
むようになった夕日を見ながら、ドリトスをツマミにこれで一杯。川岸のテラスで爽やか
な風に吹かれながら、遠い日本にいる辺境旅行の相棒の誕生日を祝おう。
ふふふ。何て贅沢な時間!
うきうきしながら、併設されたレストランへ夕食をとりに出かけたのだった
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