私が死んでも/
山口鈴代
私が死んでも同情してくれる人はいない。
こいつは病気だったんだから仕方ないで片付けられてしまうだろう。
思えばハタチ過ぎのころ友達とフランスへ行ったけ?
あの頃はこんな未来、誰が予感したかしら?
思えばこんな死の前の鏡に映る私の顔、誰が想像もしたでしょうよ。
私が死んでも世界は何一つ変わらず慌しく動いている。
誰も涙一粒もこぼしてくれやしない。
私が死んでもハトは今日も明日もベランダに訪ねてくるだろう。
戻る
編
削
Point
(2)