イタリアで食べたたらこスパゲッティのことと、スーツの似合わない50台の男のこと/ピッピ
しているけれど
「珈琲いれようか」と言っても「いい」と君は言う
テレビのリモートコントローラを左手で弄くっている
秒針、冷蔵庫、小鳥の囀り、
そして君の秀逸な言語センスが無機質にリズムを刻んでいる
それらを微塵も素敵だとは思わない
代わる代わる訪れる色の違う言葉の渦が君の病状を更に悪化させている
僕は珈琲を飲んでスーツ着てヘアージェルで髪型を調えて玄関のノブを捻りたい
君が知っている世界に勝ちたい
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