六月の水球/佐野権太
白熊が死んじゃう、と言って
つけっぱなしの電気を
消してまわる君は
将来、かがくしゃになりたい
という
撒き散らかされた
鳥の餌のシードを片づけていると
芽がでればいいのに、なんて
幼く笑う
小さな額をみつめる
逃げ切れないかもしれない
君の世代
そうしている間にも
星は
少しずつ動いている
*
プロペラと
流体力学と
少しの風力
鳥に憧れるならば
そのくらいでよかった
月の海には
やさしい動物が
住んでいればよかった
*
毎朝
ふたご座を占うことを忘れない
君の
誰にも聞けない秘密の質問に
お父さんは、もう
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