極小詩集 〜 青い果実 〜/こしごえ
 
「 ほころびる時 」


宇宙の襞目にある 水のこころ

器をえらばず しん透し いのちを潤す
真空において純粋回帰する単音
貴殿の耳にこだまする
(覚めることのない果実を。
遠いまなざしの
青く
広がる

空に雲ひとつなく冬日和 ああ!
(((生きなければ、死ねない)))
死はここにある
生きている内に。私という河流は海原へ
流れゆきふたたびどこか
雲となり山林にしみ透り
水平線を限る。魚影の光芒
冬枯れて月冴ゆ
雪原も青白く
ふらりはぐれ雲は高く
天狼星におわれ
うしなわれた風を
高く高く、

闇黒の宇宙に浮かび上がる。
貴殿の耳は、

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