餓鬼/北村 守通
 
を破壊する

食いたいが
食いたくない
食うことで
崩され
失ってしまったことと
直面し
食うことの
悲しさを
知ることを
避けては通れなくなってしまう

  かつて
  満たされた
  幸せを与えてくれた
  魔法の一粒が
  今では
  無機質な
  なにも語らない
  ひとかけらに過ぎない
  呼びかけても
  答えてくれない
  顔を
  見せてもくれない
  噛み砕いてみても
  弾力は跳ね返ってこず
  味覚を通して
  脳に話しかけてはくれない

  もう
  話しかけてはくれなかったのだ
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