天根の辻/
田代深子
吸われてしまえと
手足投げ頬を地へすりつける
いずれ野花の床となるなら
それもよろしかろう
瓶から水をつげば風が通る
コンクリうちの足もとで荷が
丸くうずくまったまま
おっとり眠っている
ころあいかあきらめようか
手ばなしかけた間口に
あたらしい客はおとのう
ではこちらはこれでと碗をおき
半睡の荷を肩に薄暗がりを背に
天根の辻のうえ
みわたせば黄昏ちかく
ひかるばかりのまんなかで
たち眩む
2004.6.11
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