たんぽぽ咲きみだれる野っぱらで、俺たちは/角田寿星
とおくの丘で
風力発電の風車がゆっくり回っている
見ろよ あれが相対性理論てやつだ
他人事であればあるほど
てめえだけは平穏無事でいられる
俺は腹がへって
あんちゃんのつぶやきをろくに聴かずに
肉眼で空を凝視しながら
あいまいな合槌をなんべんも打った
たんぽぽが咲きみだれる野っぱらで
飛び交う綿毛にむせっ返りながら
俺たちは
たたかってるところだった
成層圏のむこうに
きらりと光る何かが見えたら
そいつが敵だ
事の真偽を確かめずに
俺とあんちゃんがぶっ放す
これしきのランチャーじゃあ
ちいさなデブリがあたった程度だろう
まっすぐな煙はどこまでもあおい
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