飛行機/小川 葉
ついに人だけになって
飛んでいる
はたしてそれを
飛行機と呼べるだろうか
翼も動力も
無線さえ持たずに
たどり着く先を失って
空飛ぶそれを
人と呼べるだろうか
私の中の操縦席に
たった一人座ってる
私を操るその人は
はたして私なのだろうか
ふと気配がして
空を見上げる
飛行機が飛んでる
自分の意思で乗った
人たちを乗せて
どこかから
どこかではない
どこかへ飛んでいく
旅の途中をぼんやり見てる
ここで私が
ついに人だけになって
立っている
はたしてそれを
私と呼べるだろうか
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