行列/あすくれかおす
 

そなたは夕顔をしている
両目が回転する
ロックアイスを部屋中に反射する
瞼が目だけを慈しんでいる
開いている間の暗闇は不穏だが
閉じている間の暗闇はやさしい


野方図な木々を風よけにして
真夜中に投球練習をしたくなりしにいく
振り向きざまにフォークボールを投げるのは
愛していると無意識に書くことくらい
口を閉じたまま集中することくらい
悲しいくらいに難しい


クローバーたちがプロペラになって
いっせいに野原を飛び立っている
残された古びた茶色い地面に座り
かなたは昼顔を思い出している
残像になる方法論を知らないので
ここから微動だにしない
指を上
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