祭りの夜/kauzak
 
彼女と手をつないで今夜
麓の街で開かれる
夜祭りを見に行く

月明かりが硬く降り注ぐ
蒼ざめた石畳の街の四隅に
かがり火が燃える

やがて大弓を載せた
台車が四隅から繰り出して
街中に百合の花を振りまく

静まり返った街を
ゆっくりと揺り起こすように
優しく撫でる

街灯にもたれて
百合の花を胸に挿して
静かな熱気を感じている僕ら

その前をギシギシと軋みながら台車が行く
大弓はもういつでも発射できるくらい
引き絞られ張りつめている



時計台の鐘が零時を告げる

どこからともなく湧き上がる鬨の声
台車は手綱の外れた馬のように
かがり火
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