Born To Win [ガードレールをくぐりし者たち]/プテラノドン
今となっては小学生をおいて渡る者はいない
廃線となった国道の歩道橋の手すりを拳で叩いている。
三十を前にした男の行動としてはアホみたいだが、久々に
一緒に散歩していた妹を笑わすには上出来だった。
明日、子供たちはここに沈澱した声を聞かずに通学する。
ぼくらの通学班は、集団下校のときによく、
駄菓子屋で万引きしてきた戦利品を食べた後で、
歩道橋の下に小高く盛られた土の上めがけて、
二、三歳上の班長はそれを自殺の練習とか言って、
近所の人か、パトカーがやってくるまで
何度も飛び降りたりしたが、今じゃそんな真似する奴らも
いないのだろう。雑草に埋まったままの丘は平らに均された。
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