星を盗む人/歌川 至誠
 
夢と夜にはさまれて
わたしは窓辺に眼をあげる

星を盗みたいと思った
屋根裏部屋が暗いので
星をひとつ盗んで
枕元の光にしたかった

星を盗みたいと思った
女の指先が寂しいので
星をひとつ盗んで
輝く指輪にしたかった

星は遠いから美しいといえるのだろうか
燃える星をひとつ鳥籠に捕まえたら
ごつごつとあばれて
きっと近づけない

そっと空をつかんで
星を握ったふりをする
遠いわたしの星
やはりきみを美しいと思う
夢を見る人に
夢を見せる星よ
とどかないその星は
最後にまばたきをする

会えてよかった

遠いわたしの星

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