クールなアンサー、もしくは “キャンセルのお詫びとお知らせ”/ひとなつ
 
、答えるようにFのコードを弾いた

クールでもあり、また別の意味でもクールであったが

彼の彼なりのロックンロールなアンサーだったろうか

しかし3本の弦から街に響き渡るのは、やはり虚無だった

彼は雨よけのビニールに残響を残し、一度も振り向かぬまま商店街を去っていった

私が彼をそれ以上詮索しなかった理由?

フェードアウトしてゆく彼の響きには、私を突き放そうとする厭世的な孤独感が感じられたからだ





日が暮れて

私が、彼のあのクールなアンサーの理由を知ったのは

その夜、彼のホームページを見てからだった

『ワールドレコードより


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