雨音/銀猫
雨の匂いがする
埃っぽい陽射しの名残りを弔って
闇に隠れ
秘密裏に行われる洗礼は
いつしか
もっと内側まで注がれるはず、
そんなことを
どこか信じている
陰音階の音だけ降らせ
目に見えない雨粒は
飽和、
それから氾濫
濁流となって
わたしを飲み込み
行方不明の感情のもとへ
流れ着かせてくれるだろう
雨の匂いがする
チャコールグレイの空は
雲ひとつ隔て
星が瞬く宙空を
等しく誰からも消し去り
明日の希望が
思いつかないことや
眠りが浅いことを
甘く赦してくれるのだ
雨の、匂い
すべて
遮る
夜
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