そんなこともアンデス/サトタロ
 
面を被ると
サンポーニャスの目に飛び込んできた
ふるさとの山が
村が
なによりアンデスの空が
これは
やめられないぜ
誘われてなんとなく来たのだが
正式入部を決意した
面を脱いだとき
頭の手ぬぐいは黄色くなっていた
充実した気勢も
木床を素足が蹴る音も
竹刀の弾ける音も
もはやサンポーニャスの耳に届いていなかった
それから毎放課後サンポーニャスは
正座でふるさとを眺めて過ごした
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