続・素顔同盟/不可思議/wonderboy
仮面を着用しているわけだが、不便を感じたことがあっただろうか。考えてもみなさい。もし、きみたちが仮面をはずし、喜怒哀楽をそのまま表したりしたら……。」
「……仮面をはずすという反社会的な行為が、人々に不安と恐れを与えるのは当然だ。そのような者を排除して、健全な社会を保とうとするのは……。」
「ねえねえでもさ、みんなの仮面の下に隠しているのが本当のぼくたちの姿じゃないのかな。」
「おい、そこ。さっきから、うるさいぞ。静かに!」
と先生は笑顔で僕に言った。
あれから10年、俺はサラリーマンになっていた。この、高度に仮面化された社会において仮面の技術はさらに進歩し、幾百もの笑顔を人々は
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