水没/
アヅサ
銀色の糸で夜空の端を結んで
葉緑素だけつめたはこのなかに
すこしずつ流し込んでいく
そしたら女の子がおどろいた顔で
真珠のような瞳をみひらいて
でもそのあとすぐ微笑った
無機物の甘やかな匂いがする
僕はそれを肺いっぱいにすいこむ
女の子のうすい胸に夜明けが映るよ
つららのようなまつげ
水素と酸素をまぜたら朝になって
空気はまだすこし海みたいだった
戻る
編
削
Point
(9)