グレートスピリット/taznu
 
無数の光をちりばめた濃紺の空に木々の影が黒々と穴をあけている
木立の間からこちらを伺う者が二つの黒曜石の瞳に北極星を映す
私は一頭のバイソンが荒く息を吐きゆっくり歩いて行くのを目をそらせずにただ見つめている
朝露は静かに私の服の裾を濡らし
風は私の首を撫で髪の間を通り抜けるが
私は呼吸も忘れ
身じろぎもできずに
ただ立ち尽くしている
そっと閉じた私の両の瞼の上に世界がのしかかってくる
私はただ感じたい
ありのまま
このままコヨーテに襲われても構わない
木々の葉が風に鳴る
生きても 死んでも
同じなのだ


[Dance Of The North/Peter Kater&R.Carlos Nakai]
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