対峙/佐藤真夏
海岸からは海岸が見えなくて
これでは砂漠と同じです、あなた
水があるだけよ
ただ水があるだけの砂漠よ
遥か 第五感界の外の霧を掴むには
衰弱するのがよいと聞きました
あちらこちらに船を描いて遊んだ頃
大気の中には大空が見えていました
目を閉じて地下に居た頃
ガラス瓶 過去の悲鳴が綴られていたとして、
渡来物 経由を繰り返して色まみれ
真っ直ぐでなければ混ざってしまう
純粋無添加の真心は 歳月を経て肌の色に近づいた
荒波に揉まれて着床した錆は、黴も、地下水を濁した
蓋に重ねた指先 少しのぼって
その首に浮かぶ ぷかぷか 脈拍からは
少しさかのぼって
明日が潤んで止まらなくなった
細く長い呼吸も湿り気を帯び始めて
船をたたむ
海岸もたたむ
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