もしあたしがのっぽになったら/みぞるる
。
世界を知った私は、
それでもやっぱり
あくびしかできないのかもしれない。
もしあたしがのっぽになったら、
お月様とお話する。
「どうしてあなたは夜に出てくるの?」
「みんなの夢を受け止めるためさ」
「どうして夢を受け止めるの?」
「みんな夢を、野放しにしてるからね」
もしあたしがのっぽになったら、
星を食べたり、
土星のわっかを被ったり、
銀河系を泳いだり、
やりたいことはたくさんあるけど、
一番にすることは決まってるのに。
テレビの前で、ちっぽけなあたしは大きなあくびをした。
戻る 編 削 Point(3)