もしあたしがのっぽになったら/みぞるる
 


世界を知った私は、
それでもやっぱり
あくびしかできないのかもしれない。



もしあたしがのっぽになったら、
お月様とお話する。

「どうしてあなたは夜に出てくるの?」
「みんなの夢を受け止めるためさ」
「どうして夢を受け止めるの?」
「みんな夢を、野放しにしてるからね」



もしあたしがのっぽになったら、
星を食べたり、
土星のわっかを被ったり、
銀河系を泳いだり、
やりたいことはたくさんあるけど、
一番にすることは決まってるのに。

テレビの前で、ちっぽけなあたしは大きなあくびをした。



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