まずい物を食べさせられても、君が好きだから。/千月 話子
味気ないカレーを食べた
寝言は 「虚しい、虚しい」と繰り返すばかり
角膜に幻覚を突き立てて
あくる朝 すっかり日が昇る前に
確実に思い知らせよう!
真っ赤な唐辛子をかじりながら
高潮に向かって 「ばかやろー!」
と 雄叫びをあげるんだ
体中が ヒリヒリと痛み出したら
目 を開けて
隣で眠る 君にキスして
フン! と笑う
カレーを不憫に作る人 あるいは・・・天才。
伸びきったラーメンに チャーシューは無し
沸騰したお湯が 119番を押そうとしている
血液に 氷点下の氷を混ぜて
夕食の腹の虫が わめき立てる前に
確実に 思い知
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